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やる気と集中力を高める
脳活ルーティン

  • 高次認知機能
  • 集中力
  • やる気
  • 有酸素運動
  • 脳疲労
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この記事のポイント

  • 働く世代に多いストレスが脳の老化を招き、意欲を減退させる
  • 仕事の合間にも体を動かす「運動」の習慣で脳が活性化する
  • 知的好奇心や人との会話で脳を刺激し、睡眠でしっかり休ませる

新年を迎え、新たな習慣や趣味を持ちたいと思う人は多いのではないでしょうか。実は毎日の習慣や好きな趣味を楽しむことを通じて脳は活性化します。やる気や集中力を高め、今年一年の仕事のパフォーマンスを上げましょう。

脳内の働きを知ろう

脳では会社組織のように
多様な領域が連携している

集中して作業に取り組む。経営における重要な判断を下す。顧客や従業員とのコミュニケーションを円滑にする。こうした仕事における大切なパフォーマンスは、すべて脳が担います。
「脳の構造は、会社の組織とよく似ています」と、東北大学加齢医学研究所 臨床加齢医学研究分野 教授の瀧靖之さんは話します。
例えば、会社の総務や人事、営業といった「部」に当たるのが、脳の「大脳」「小脳」「脳幹のうかん」になります。
このうち脳全体の約80%を占める大脳は、次の4つの「課」に分かれます。

【大脳の4つの領域】

  • 前頭葉ぜんとうよう
  • 側頭葉そくとうよう
  • 頭頂葉とうちょうよう
  • 後頭葉こうとうよう

それぞれの「課」には下図の働きを担う神経細胞が集まり、各領域で任された仕事をこなしています。

大脳の"4つの課"が持つ主な働き

画面を拡大してご覧下さい。

人の横顔のイラストに脳の各部位が色分けされ、役割が説明された図。前頭葉(考える・判断する・新しいものを作り出す、感情やコミュニケーションに関わる働き)、頭頂葉(感覚に関わる働き)、側頭葉(聴く働き)、後頭葉(見る働き)、小脳、脳幹の位置が示されている。
出典:瀧靖之『生涯健康脳 Part2 実践編!脳が喜ぶことをするだけで、脳は一生健康でいられる!』(ソレイユ出版)

中でも前頭葉は、集中や計画、意思決定、判断、記憶、コミュニケーション、感情や行動の抑制といった、「高次認知機能」と呼ばれる重要な機能を担っています。前頭葉の最も前に位置する前頭前野ぜんとうぜんやには特に高度な働きをする神経細胞が集中し、高次認知機能をつかさどります。

会社でいくつもの部署が連携して仕事をするように、脳も多くの領域にある神経細胞がネットワークをつくり、互いに関係し合いながら働いています。

加齢やストレスによる
脳の老化を遅らせる

個人差はあるものの、脳の働きは加齢と共に衰える傾向にあります。脳の体積が20歳前後をピークに萎縮し始め、それに伴って高次認知機能が低下するといわれているからです。若い頃に比べて集中力が続かなくなった。やる気がなかなか起こらなくなった。記憶力や判断力が低下した。このような変化を感じるなら、脳の老化が進んだサインかもしれません。

40代以降は社会的な責任が大きくなるほか、人によっては子育てや介護といった家庭の問題も多くなる時期です。
「一般的に、ストレスが多く、幸福感が低くなりやすい世代だといえます。ストレスが増えると、ストレスホルモンの一種であるコルチゾールの分泌が過剰になり、側頭葉の内側にある海馬かいばを萎縮させる要因となります。海馬の神経新生も抑制されるという報告※1があります」(瀧さん)

  • ※1Raz,Naftali et al.Regional brain changes in aging healthy adults:general trends,individual differences and modifiers.Cerebral cortex.2005 Nov;15(11):1676-1689.

ストレスの増加が海馬の萎縮を招く

画面を拡大してご覧下さい。

人の横顔の断面図。脳の構造を示すイラストで、「大脳皮質」「海馬(赤字で強調)」「脳幹」「小脳」「脊髄」の位置にラベルが付いている。

海馬は「記憶の司令塔」とも呼ばれ、特に短期記憶に関係があり、新しく覚えたことはまず海馬に保存されます。海馬が不要な情報だと認識すると、人は忘れるようになっています。一方、忘れてはならない大切な情報は、海馬に一時的に保管された後、長期記憶を保管する大脳皮質へと移動します。

海馬は前頭葉をはじめとする脳の多様な領域とつながり、高次認知機能にも影響を与えます。
「脳の働きが低下して、気分の落ち込みや意欲の減退症状が現れる人は少なからずいます」(瀧さん)

加齢に伴う老化は自然現象の一つですが、老化による脳の衰えを遅らせることは可能です。脳の神経細胞のネットワークには、外からの刺激に反応し、変化して適応する「可塑性かそせい」があります。
脳の可塑性を高めれば、何歳になっても脳は成長する可能性が高まります。

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監修

瀧 靖之

東北大学加齢医学研究所 臨床加齢医学研究分野 教授
スマート・エイジング学際重点研究センター センター長

医師。医学博士。MRI画像を用いたデータベースを作成し、脳の発達や加齢のメカニズムを明らかにする研究に従事。『脳医学の先生、頭がよくなる科学的な方法を教えて下さい』(日経BP)、『生涯健康脳 Part2 実践編!脳が喜ぶことをするだけで、脳は一生健康でいられる!』(ソレイユ出版)など著書多数。

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