その言葉、アウトです!

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男なんだからしっかりしてくれよ!

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

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「男なんだから......」という言い方には、「男らしさ」「女らしさ」のように、性別によって相手の行動や心情を区別する考え方が含まれる。

かつては、人を男と女に分けることが一般的だった。今では「LGBTQ+」という言葉が表す通り、身体的、精神的に男・女と二分せずグラデーションのようになっていて、性の在り方は一人ひとり多様であることが可視化されるようになった。

「男だから」「女だから」と、性によってひとくくりにするのをやめて、個人個人の違いを尊重した発言を日ごろから心がけたい。さらにどの性にも属さない人や、属したくないと思う人が存在することに対する理解と配慮が必要だ。

性別による決めつけはNG

「男なんだからしっかりしてくれよ」という言い方は、何気ない一言のように思えるが、「君はダメなやつだな」と相手を見下すニュアンスも感じさせ、言われた人を傷つける可能性がある。

では、どんな言葉に置き換えればよいのだろうか? まずは性別を持ち出さない。業務上での期待値に相手が達していなかったり、ミスがあったりした場合には、「○○さんにはこの段階までやってほしい」「ミスは繰り返さないように気をつけて」などという言い方が好ましい。

上司として部下への期待値をきちんと伝える。期待値のレベルと現状のギャップを説明し、それをどう埋めていくか確認と調整が大切だ。

言葉遣いだけ丁寧にしても、相手を下に見ているスタンスが変わらなければ、部下には上司に見下されている感じが伝わる。

部下と相対するときの自らのスタンスを適切に捉え直し、その上で相手の立場に立って指導する言葉をかけるのが大切だ。

ジェンダー平等が当たり前の昨今だからこそ、男女にとらわれず、チームとしてどうするのか、会社としてどうするのか、という視点に立った言葉選びを心がけたい。

監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など