その言葉、アウトです!
キーワード
週末はデートかな?
企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。
- その言葉アウトです!
- 開かれた質問
- プライバシー
かつて、プライベートな話題を従業員に振って、相手との関係を良くする潤滑油として使ったり、人となりを知る手段にしたりした時代があった。
最近は不用意に従業員のプライベート領域に立ち入らないように配慮するのが好ましいとされる。
「週末はデートかな?」と聞いたこの上司も、従業員の交際状況について詳しく知りたいわけではなく、ちょっとしたコミュニケーションのつもりで質問したのかもしれない。しかし「デート」という個人的な内容のために、言われた側は「踏み込まれた」と感じ、不快に思う可能性がある。
コミュニケーションをとるための話題は、自己紹介や歓迎会、仕事上の雑談の中で、互いの共通点や趣味の話などから見つけるとよい。相手が「ジムに通っています」と言ったら、トレーニングの様子を話題にできる。相手の語った事柄をきっかけにしているので、自然に話が広がりやすい。
人となりを知るには、会話中で出たキーワードを聞き逃さず、その言葉を使ってコミュニケーションするとよい。相手を気にかけていることが伝わり、信頼も深まる。
相手と自分の距離感を測りながら、徐々に会話の内容の幅を広げるようにしたい。相手の反応を見て話題が適切ではなさそうだったら、すぐに話の内容を変えられるくらいのコミュニケーション術を身につけるのが理想だ。
返答しやすい質問を
質問をする際は「開かれた質問」が好ましい。聞かれた側が自由に答えられる種類の質問だ。「週末はどう過ごしているの?」と聞けば、「家でのんびりしています」とか「家族と過ごしています」など、返答の選択肢が多い。
一方、「週末はデートかな?」というような聞き方は「閉ざされた質問」で、「はい」か「いいえ」でしか答えられない。答える側の自由度が高く、過度にプライベートに踏み込まない質問をするように心掛け、心地よいコミュニケーションを目指そう。
稲尾 和泉
クオレ・シー・キューブ 取締役2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など