その言葉、アウトです!

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おまえは本当にバカだな

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

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部下が大きなミスをしたとき、叱責する場合がある。しかし、「バカ」「アホ」といった相手の人格否定は、他の人の前ではもちろん、2人きりの場面でも厳禁だ。

「バカ」とけなしたことで事態そのものが好転するわけではない。ただ部下の心を傷つけるだけだ。

「このようなミスは絶対に繰り返してはダメだよ」「お客さまに大変な迷惑がかかるんだ。これからは細心の注意を払おう」などと言えば「指導」となり、今後のミス防止につながる。

また、他の従業員がいる場で注意や指導をしたほうが良いケースもある。例えば、遅刻や会社の方針に反する行為、ルール違反など、チーム全体にとって重要な問題に関しては、他の人の前であってもはっきり注意すると、職場の秩序が保たれる。

その場合も人格否定にはならないように、正すべき言動だけに絞って指導したい。「もう来なくて良い」「顔も見たくない」などという感情的な言葉は絶対にNGだ。

指導後の相手の表情に要注目

注意や指導をした後は、言われた側がどのように受け止めたかを確認するために、その後の相手の表情や様子をうかがっておくのが肝要だ。

仕事が全く手につかないような状態や、非常に落ち込んでいる様子ならば、行き過ぎた指導の可能性も。自分の言葉が厳し過ぎたと思ったら、「さっきは言い過ぎた。悪かったね」などと謝りたい。

また、注意した意図が伝わっていない場合もある。相手が理解したかを確認して、できていなかった場合は、「こういうことを言いたかったんだよ」と真意を伝えることも必要だ。

時間がたってタイミングを逃すと関係修復は難しくなる。できるだけ早めに冷静に話し合う機会を持ちたい。

自分自身では言い過ぎたと気付けないケースもある。改めるべき言動に関して、上司に対してもたんなく指摘し、ストッパーの役割を務めてくれる人材を周囲に確保しておくと心強い。

監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など