その言葉、アウトです!

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非言語コミュニケーション

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言や態度がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。
今回は、ついやってしまいがちな非言語コミュニケーションを取り上げ、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げる。

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本コラムはこれまで、仕事においてアウトとされる「言葉」を取り上げてきたが、今回は非言語コミュニケーションに注目してみよう。非言語コミュニケーションとは、表情やしぐさといった、言語以外による意思の疎通を指す。

米国の心理学者アルバート・メラビアンが提唱した「メラビアンの法則」によると、コミュニケーションを図る際に相手に影響を与える割合は、表情やしぐさなどによる視覚情報が55%、声の大きさや話す速さといった聴覚情報が38%、話す内容などの言語情報が7%だという。このうち視覚情報と聴覚情報を合わせた非言語コミュニケーションの影響力は90%以上に及び、話の内容による影響はかなり少ない。

無意識の行動に注意

実際にはどのような表情、しぐさが影響を与えるのか。自らの態度や何気ない癖を振り返ってみよう。

部下が相談を持ちかけてきたとき、眉間にしわを寄せた険しい表情でパソコン画面ばかり見て、部下と目を合わせなかったりしていないだろうか。これでは「上司はイライラしている」「真剣に聞いてくれない」「自分は評価されていない」と悪印象を与える。

ほかにも腕組みや貧乏ゆすり、ペンの頭をノックして不必要にカチカチ鳴らし続けるといった行為は、たとえ無意識の癖であっても相手に不安や威圧感を与えかねない。せっかく部下に対するアドバイスや励ましの言葉を口にしていても、非言語コミュニケーションの影響が強く、相手に話の中身が伝わりづらくなる。さらには、日常的に部下を不愉快にする非言語コミュニケーションを行っていると、上司への信頼が薄れ、報連相が滞り、業務に悪影響を及ぼす。注意が必要だ。

無意識の癖を直すのは難しいが、イライラした感情を落ち着かせるのに効果的なのが深呼吸だ。座禅やヨガでも重要な呼吸法とされ、気持ちを安定させる。感情をコントロールしたいときは、何回か深呼吸して気持ちを静めるのがオススメだ。

監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など