その言葉、アウトです!

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飲み会に来ないの? 付き合い悪いなぁ

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

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間もなく忘年会シーズンが始まる。部下を飲み会に誘う機会も増えるだろう。だが断られたからといって「あいつは付き合いが悪い」と言うのはNGだ。断った部下の「アルコールが飲めない」「体調が優れない」「酒の席が苦手」「家族との時間を大切にしたい」といった個々の事情を思いやろう。さもないと、今後の仕事に支障が生じたり、仲間外れにされたりするのではと部下を不安にさせ、出席を強いることになってしまう。

「今回は残念だね。また声をかけるよ」「もし行ける日があったら行こうよ」などと言うと相手は安心する。

会社や部署を挙げての懇親会や歓送迎会は、全員に声をかけるのが原則だ。共に働く仲間として正規・非正規雇用者の差をつけずに誘う。参加するかどうかは個人の選択に任せるとよい。

仕事が終わらず、やむなく欠席する従業員がいないかも目を配ろう。残業が多い従業員には「遅くまで仕事をしているけれど、大丈夫?」などと日常的に声をかける。全員参加が好ましい飲み会なら、仕事の期限を調整したり、飲み会の日程を延期したりして配慮しよう。

宴席で業務の決め事をしない

飲み会の席で仕事上の事柄を決定するのは好ましくない。その場にいなかった従業員には情報が伝わらず、混乱や不公平感が生まれる可能性があるからだ。飲みながら仕事の話が盛り上がり、アイデアや発想が出た場合は、日を改めて会社や部署の会議にかける。関係者全員がいる場で話し合い、情報や決定事項を共有することが重要だ。

なおコロナ禍を経て、昨今、飲み会の席でのハラスメント、特にセクハラ問題の増加が顕著になっている。コロナ禍に蓄積したストレスからの解放感に加え、アルコールの影響でテンションが上がり、自制が利かなくなる人は多い。この機会に、会社全体でハラスメント問題に対する認識を新たにし、対策を徹底しよう。

監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など