その言葉、
アウトです!

キーワード

更年期障害じゃないの?

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

  • その言葉アウトです!
  • 更年期障害
  • 安全配慮義務
更新

職場で安易に従業員の健康状態について話題にしていないだろうか。特に加齢によるホルモンバランスの変化が原因となる更年期障害は、ナイーブな話題だ。たとえ感情に波があったり、汗をかいたりしているからといって、憶測で()()するかのように言及するのはハラスメントにつながる。

近年は、男性も更年期に伴う体調変動が起こり得て、かつ20〜30代でも似た症状が現れる場合があると分かってきている。性別や年齢といった属性で特定の病気に結び付けてはいけない。更年期障害を含め体調不良には個人差があり、誰もが経験するかもしれない認識が重要だ。

とはいえ、企業には従業員が健康的に働ける環境を整える安全配慮義務がある。部下の健康状態は気になるところだ。部下や同僚の体調はどう気に掛けるべきだろうか。

業務を調整しやすい環境に

もし誰の目にも明らかに体調が悪そうな場合は、必要に応じて業務を調整したり、休業を促したりする必要がある。部下の体調を気遣うときは、個別に声をかけよう。その際、従業員の持病や病歴、健康状態は取り扱いに配慮が必要な個人情報であると意識したい。

部下から体調不良を申告された場合は、業務を調整しやすい環境や関係性づくりに注力する。業務への影響を確認し、必要であれば勤務時間の調整や休業手続きも行う。産業医への相談も活用したい。なお、他の同僚に体調に関する情報を共有するときは、本人の同意がない限りむやみに伝えないほうが良い。

近年は介護休暇を取得する人もいる。妊娠や子育てで一時的に仕事ができなくなるケースは珍しくない。職場全体で「お互いさま」の意識を持ち、協力体制を築こう。加えて、上司が無理して働きすぎないのも肝心だ。上司が体調不良にもかかわらず働いてしまうと、部下も休みづらくなる。上司が率先して、休みを取りやすい雰囲気を醸成していこう。

監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本産業カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など