
その言葉、
アウトです!
キーワード
新入りのくせに調子に乗るな!
企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言がきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードから、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。
- その言葉アウトです!
- ネガティブ思考
- ハラスメント
ノルマが達成できなかったり仕事が山積みだったりすると、ネガティブな思考に陥りがちだ。古株の従業員が、できる新人に妬み半分で「調子に乗るな」「生意気だ」と言ってしまうこともあるだろう。職場で自分の存在意義が脅かされる不安から、好成績の人を攻撃してしまうのだ。
こんなシーンを見かけたら、上司は早い段階で面談を設定するのが好ましい。「新人へのネガティブな言動が気になっている。あなたの成長のためにも、どうしたらいいか一緒に考えたい」と伝えよう。
誰かの悪口を言う人には「あなたはそう思っているんだね」などと答える。悪口に同調したり、自分の意見を言ったりせず、相手の怒りを否定しないよう心掛けたい。
攻撃者の不安を取り除く
居場所がなくなるのではと不安を抱えているなら、「あなたは会社にとって大切な人材だ」と伝えよう。ステップアップしやすい課題や目標を設定し、自信がつくようサポートする。
上司が真摯に向き合うと、「分かってくれた」「近くに理解者がいる」と感じられる。心理的安全性が確保されれば、不安は和らぎ、発言も穏やかになる。
相手の心情を十分に聞かず、「まあまあ、同じ職場なんだからうまくやってよ」などとトラブルを見て見ぬふりをするのはNGだ。不満や不安が募り、状況はより悪化する。
親身になって話し、今後の方向性をいろいろ提案しても、聞く耳を持たない従業員もいる。そんなケースでは事態がさらに悪化して、攻撃の度合いがハラスメントの域までいくと、会社として措置を講じることになる。場合によっては懲戒処分が必要となるため、エスカレートする前に適切に対応することが望ましい。
経営者と若手の間に挟まれる上司(中間管理職)は、現場の人間関係、サポート、指導など悩みが多岐にわたる。経営陣は現場を任せきりにせず、共に問題解決に取り組もう。
稲尾 和泉
クオレ・シー・キューブ 取締役2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー/キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本キャリア・カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など