それアウトです!

態度

悩んでいる部下に寄り添わず、一方的に論破

企業におけるコンプライアンス違反が頻繁に取り沙汰されている。
昨今、何気なく発した一言やしぐさがきっかけで大問題に発展するケースも少なくない。本コラムでは、つい言ってしまいがちなキーワードや態度から、なぜそれが「アウト」なのかを掘り下げよう。

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仕事のやり方で悩んでいる部下がいたとする。そんなとき、「そのやり方は間違っている」「ルール通りにやりなさい」と一方的に伝えてはいないだろうか。これは指導とはいえない。いきなり否定せず、部下の成長方法を探す視点で、相手の気持ちや状況を確認するのが指導の第一歩だ。

なぜルール通りにできないのか、そもそもルール自体に疑問を持っているのか。悩みの内容によって寄り添い方は異なる。まずルールの背景を説明し、「こういう理由でルールに従ってほしい」と伝える。それでも悩んでいたら、「どこに悩んでいるのか教えて」と問いかけ、状況を共有した上で解決策を一緒に考える。これが「寄り添う対応」だ。

また、ルールがない業務で、上司が自らの成功体験に基づき、「この方法なら間違いない」「私の言うとおりにやれば大丈夫」などと、根拠も説明もなく押しつけるのもNGだ。

若い世代は「タイパ(タイムパフォーマンス)=時間対効果」「コスパ(コストパフォーマンス)=費用対効果」を重視する傾向がある。常に、効率が良いか、自分にとってプラスかをシビアに考える。「価値を感じないことに時間を使うのは無駄」という思考だ。一方で、価値やプラス面を見いだすと、集中して取り組む長所もある。

たとえ部下が間違えていても、「それは違うんじゃないか」などと一方的に論破してしまうと、成長の芽を摘むことにもなる。これを社内で繰り返すと、仕事の質が徐々に低下し、経営に支障をきたしかねない。

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監修

稲尾 和泉

クオレ・シー・キューブ 取締役

2003年4月からクオレ・シー・キューブにてカウンセラーおよび研修講師。産業カウンセラー、キャリア・コンサルタント、精研式SCT(文章完成法テスト)修士、日本キャリア・カウンセリング学会会員。共著に『パワーハラスメント』(日本経済新聞出版)など