トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
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万人
~外国人労働者数~
Number Of The Month
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厚生労働省が2023年10月に取りまとめた「外国人雇用状況」によると、国内の外国人労働者数は、約205万人(※1)。雇用状況の届出制度が義務化された2007年以来、過去最高を更新した。日本で働く外国人労働者の数は、新型コロナウイルスの感染拡大期間は横ばいで推移したが、2021年から増加、直近の10年で約3倍になった。ちなみに205万人という数字は、政令指定都市である札幌市(約197万人)や福岡市(約161万人)の人口を超える(※2)。
205万人を様々な角度で見ると、国籍別ではベトナムが最も多く25.3%。続いて中国19.4%、フィリピン11.1%で、中国からの労働者は近年減少傾向にある。一方、対前年増加率が上がっているのがインドネシア、ミャンマー、ネパールの3カ国だ。
「在留資格」別では、対前年増加率で見て最も高いのが「専門的・技術的分野の在留資格」で、24.2%の増加。これは大学教授や経営者、医師など特定技能者が持つ資格だ。次いで、中小規模の建設、食品製造、機械金属関連の会社で雇用の多い「技能実習」で、増加率は20.2%。許可を受け一定の範囲内で就労が認められた「資格外活動」も6.5%の増加となっている。
外国人材に選ばれる国へ
今、この技能実習制度について見直しが検討されている。同制度の創設は1993年。そもそもの目的は、自国で働きたくても就職先が見つからない外国人を、技能労働者として日本で育成する国際貢献の制度であった。しかし約30年を経て、実習生が他の企業に転職する「転籍」の制限など、人権に関わる多くの課題が浮上。2022年11月に有識者会議が設置され「国際的にも理解が得られ、我が国が外国人材に選ばれる国になる」よう、転籍の制限緩和や外国人の人権保護などを盛り込んだ新たな制度の創設に向けて進んでいる。人手不足が深刻な地方や中小零細企業において、人材確保が図られるよう配慮も盛り込まれており、今後の動きに注目していく必要がありそうだ。
- ※1出典:「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和5年10月末時点)(厚生労働省)
- ※2出典:指定都市一覧(令和4年7月5日現在)(総務省)