トレンドを読み解く今月の数字

ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。

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~女性の有業率~

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Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1

総務省が全国・地域別の就業構造に関する基礎資料を得ることを目的に、国民の就業状態を調査する「就業構造基本調査」。1956年から開始され、1982年からは5年ごとに実施されている。

2022年に実施された同調査(※1)によれば、「15~64歳の生産年齢人口における女性の有業率」は72.8%。2017年の調査から4.3ポイント上昇し、過去最高を更新した。ちなみに有業率とは、15歳以上の人口に占める有業者の割合。有業者とは「ふだん収入を得ることを目的として仕事をしており、調査日以降もしていくことになっている者、および仕事は持っているが、現在は休んでいる者」をいう。

日本の女性の有業率は近年上昇しており、今回の調査では生産年齢人口だけでなく、年齢階級別(15〜74歳まで5歳ごと、および75歳〜)で見ても、すべてプラスとなった。また、結婚や出産によって30歳代の有業率が谷となる「M字カーブ」も、人手不足や共働き世帯の増加などから、改善傾向にある。

有業率だけを見ると、上昇傾向で推移している女性の就業環境だが、視点を変えるとまた違った数字が見えてくる。

正規雇用や管理職は低水準

例えば、前述の調査で非正規雇用者の割合を男女別に見ると、男性は22.1%だが、女性は53.2%。女性は非正規雇用者の割合が正規雇用者を上回っており、これは男女間賃金の格差にもつながっている。日本における男女間賃金は、国際的な視点で見ても、他の先進国に比べて大きな差があるとされている。

もう一つ世界と比較すると女性の管理職の割合(※2)は、米国や英国、オーストラリアの約3分の1。女性役員の割合はフランスやノルウェーの約4分の1で、世界的に見ても非常に低い水準であることが分かる。

こうした国内外の格差を是正していくためにも、有業率だけでなく正規雇用や管理職など、より多くの女性が多様化した働き方で活躍できるような取り組みが期待されている。

  • ※1出典:「令和4年就業構造基本調査」(総務省) 2022年全国約54万世帯(15歳以上の世帯員約108万人)を対象に実施
  • ※2出典:「国土交通白書2021」(国土交通省) 第2章第3節 多様化を支える社会への変革の遅れ 2 世界各国との比較