トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
- 今月の数字
- 民生用映像機器
- 電子情報技術産業協会
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億円
~民生用映像機器の国内出荷額~
Number Of The Month
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今回の数字、5,100億円は電子情報技術産業協会(JEITA)が発表した2023年の映像機器(テレビ、DVD・ブルーレイディスクレコーダーなど)の国内出荷額累計。前年比87.3%だった。
映像機器の出荷額がピークだったのは2010年だ。12月には単月で4,410億円、年間では3兆375億円となり、11年連続のプラスを達成。5,100億円という数字は2010年の12月単月に近く、年間累計額で見ると減額分は2兆5,275億円に上る。
薄型テレビの実績を見ると、ピークは映像機器全体と同じ2010年で出荷台数2519万3000台、前年比184.9%を記録。いわゆる「地デジ特需」に、当時の麻生内閣が導入した「家電エコポイント制度」が後押しした。テレビがリビング以外の各部屋に置かれるようになった時期とも重なる。
新技術と多様化への対応
その後、パソコンやスマートフォンの台頭もあり、テレビ離れが急速に進み減少傾向が続く。ただ、明るい兆しもある。2024年2月の薄型テレビ出荷台数は34万8000台。前年比100.5%となり、17カ月ぶりのプラスに転じた。その中でも新4K8K衛星放送対応テレビ(※1)の出荷額が上昇傾向にあり、薄型テレビ全体の出荷額483億円(2023年12月)の85.7%を占めるまでになっている。
ブルーレイディスクレコーダー・プレーヤーもテレビ同様、減少傾向にあるものの、2023年12月には新4K8K衛星放送対応レコーダー(※2)出荷台数が、前年比127.4%となった。
機能面でも、複数のチャンネルをまとめて録画できる「全録レコーダー」、時短再生やタイムシフト視聴など、多様な視聴スタイルに合わせた機種が登場している。厳しい状況が続く映像機器業界だが、新たな技術や多様化するライフスタイルへの対応で需要確保へ必死にもがく。
こうした動向は映像機器に限った話ではない。新たな技術・多様化対応は、業界、事業規模にかかわらず、今後の生き残りに共通するカギとなるはずだ。
- 出典:電子情報技術産業協会(JEITA)民生用電子機器国内出荷統計
- ※1新4K8K衛星放送の受信機能を有する薄型テレビ
- ※2新4K8K衛星放送の受信機能を有する記録装置。光ディスクの録画再生機能の有無にかかわらない