トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
- 今月の数字
- 健康寿命
- 平均寿命
- 世界保健機関(WHO)
- 高齢者雇用機会
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歳
~日本人男性の健康寿命~
Number Of The Month
Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1
人の寿命を表す際に用いられる「平均寿命」と「健康寿命」。前者は0歳における平均余命、つまり人が生まれてから死ぬまでの期間をいう。一方、後者は健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間のことで、2000年に世界保健機関(WHO)が提唱した健康指標だ。
今回フォーカスするのは日本人の健康寿命。内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によれば、日本人の健康寿命は男性72.68歳、女性75.38歳で、01年から男女とも延びている。延び率は男性の方が女性より高く、男女の差は若干ではあるが縮小傾向にある。
健康寿命の延伸は労働意欲にもつながるのか。同白書で現在働いて収入を得ている60歳以上の男女に就業意欲について尋ねたところ、「働けるうちはいつまでも」と答えたのは約4割。「70歳くらいまで」またはそれ以上という回答と合わせると、約9割が働き続けたい意向を示した。「働かざるを得ない」という事情を含みつつも、健康で働く意欲を持つ高齢者は企業にとっても頼もしい存在となりそうだ。
健康寿命に合った職場づくり
今から16年後の40年には、団塊ジュニア世代が高齢者(65歳以上)となる。社会の担い手となる現役世代(15~64歳)人口の急減という厳しい局面が訪れるとされている。これを踏まえて厚生労働省は、「健康寿命の延伸」への取り組みを推進する。40年までに男女共に健康寿命を3年以上延伸し(16年比)、75歳以上を目指している。同時に70歳までの就業機会の確保等、「更なる高齢者雇用機会の拡大に向けた環境整備」を掲げる(※1)。
すでに、65歳以上の再雇用拡大や、短時間勤務の実現によって新たな雇用創出に取り組み、成果を上げる企業も出ている。人生100年といわれる時代、今後さらに延伸していくであろう健康寿命を鑑みて、高齢者が働ける職場づくりが企業経営のカギとなりそうだ。
- 出典:内閣府「令和5年版高齢社会白書」
- ※1「2040年を展望した社会保障・働き方改革について」2019年 厚生労働省