トレンドを読み解く今月の数字

ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。

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万人

~訪日外国人旅行者~(2024年1月~6月)

Number Of The Month

Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1

インバウンド(訪日外国人旅行者)の数が右肩上がりで増え続けている。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)感染拡大による激減から状況は一転した。急激な増加には2022年頃から始まった円安も拍車をかけている。

日本政府観光局(JNTO)によると、「訪日外客数推計値」は、24年は1月から6月までで1777万7200人(※1)。前年同期比で65.9%の高い伸び率を示した。コロナ禍前の19年と比べても6.9ポイント上回った。月ごとでも桜シーズンで人気の3・4月に続いて、5・6月も300万人を超える数字となる。

国・地域別に見た「訪日外客数内訳」は、トップから韓国、中国、台湾と続く。中国は前年同期比で伸び率415.8%と爆発的に急増。23年8月、約3年半ぶりに日本への団体旅行が解禁された影響と見られる。

データを生かして収益を生む

旅行者の消費動向はどうだろうか。観光庁がまとめた24年4~6月の「インバウンド消費動向調査」を見ると(※2)、消費した金額は3カ月で推計2兆1370億円に上る。この金額は24年度の横浜市の一般会計1兆9156億円を超えるものだ。

今やインバウンドによる経済効果は、日本の消費を支える大きな軸となっている。観光庁はインバウンドによる消費動向データをオープンデータとして利活用できるようにしている。観光は食事と並ぶ訪日の大きな目的とされ、近年は観光スポットの多様化も顕著だ。従来の名所エリアだけでなく、地域資源を生かした観光コンテンツ開発に取り組む地域も出てきた。中でも工場見学は人気があるようで、自動車工場やビール工場のほか、食品サンプル試作のワークショップを組み込んだ工場ツアーもあるほどだ。

半面、景観へのマナー違反や電車やバスといった交通機関の混雑など、オーバーツーリズムによる課題は多々ある。データ活用と新たな発想で、こうした課題を解決しつつインバウンドによる経済効果を取り入れていくことが重要だといえる。

  • ※1出典:訪日外客数(2024年6月推計値)「日本政府観光局(JNTO)」2024年7月19日発表
  • ※2出典:「インバウンド消費動向調査」2024年4-6月期(1次速報) 国土交通省観光庁