トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
- 今月の数字
- 高齢者
- 人手不足
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-65~69歳の有業率-
Number Of The Month
Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1
働く高齢者が増えている。少子化が加速し、人手不足が深刻化する一方の日本の労働状況において、今や高齢者はなくてはならない存在となっている。
今回注目したのは65~69歳の有業率だ。有業率とは、15歳以上人口に占める有業者(※1)の割合をいう。総務省統計局の「令和4年就業構造基本調査」によれば、日本の有業率は全体の60.9%で5年前の調査から1.2ポイント上がった。
年齢階級別の有業率で、前回比ポイントが最も高いのが65~69歳で、5.4ポイント上がって50.9%となった。次いで60~64歳が5.2ポイント、70~74歳が4.3ポイントとなり、全体的に60歳以上の有業率が上がっているのが分かる。
高齢者生かす環境を
もう1つ、働く高齢者についてのデータがある。同じく総務省統計局が2023年に公表した「統計からみた我が国の高齢者」だ。こちらは「就業者(※2)」という把握方法を採っている。
22年の高齢就業者数は19年連続で増加し、比較可能な1968年以来過去最多の912万人に上る。就業者総数に占める高齢就業者の割合も13.6%と過去最高で、雇用形態をみると全体(役員を除く)の76.4%が非正規の職員・従業員だ。最も多いのがパート・アルバイトで52.5%と半数以上になっている。非正規雇用はライフスタイルに応じて働き方が選べる半面、雇用が安定しない点や福利厚生面でデメリットが生じる場合も多い。高齢者が働く理由には、健康のためや社会とのつながり以外に、公的年金だけでは暮らしていけず、働かざるを得ないケースも少なくない。
今、現役の働き手もやがては高齢者になる。働く高齢者の環境整備は今だけの課題ではなく、継続する課題である。雇用側にとっては高齢者が持つスキルやキャリアを上手に生かすことができ、働く側にとっては長く安心して働ける。双方にとってプラスとなる環境の整備が求められるのではないだろうか。
- ※1ふだん収入を得るのを目的として仕事をしており、調査日以降もしていくことになっている者、及び仕事は持っているが現在は休んでいる者も含まれる。
従業者は収入を得ていなくてもふだんの状態として仕事をしていれば有業者とされる(総務省統計局 就業構造基本調査の用語解説より) - ※2月末1週間に収入を伴う仕事を1時間以上した者、または月末1週間に仕事を休んでいた者(総務省統計局 令和5年「統計からみた我が国の高齢者」より)