トレンドを読み解く今月の数字
ちまたには様々な数字があふれている。それらは時に大きな意味を持つ。
「数字」から世の中の事象を切り取ってみよう。
- 今月の数字
- 物価高騰
カ国
~日本からビザなしで
渡航が可能な国の数~
Number Of The Month
※2024年7月現在
Font "DSEG" by Keshikan. SIL Open Font License 1.1

旅行やビジネスなどで他国を訪れる際に必要となるのがパスポートとビザだ。自国が発行し、旅行中の身分証明書となるパスポートに対して、ビザは渡航先の国や地域が発行する入国許可証となる。ビザは渡航先によっては申請が必要だ。自国の情勢により、申請の有無は異なる。
実は、日本は世界でも有数の"ビザなし渡航"が許されている国だ。日本政府が発給するパスポートを持っていれば、ビザを申請することなく渡航できる国がたくさんある(※1)。
英国コンサルティング会社のヘンリー&パートナーズが毎年数回発表する「パスポート・インデックス」(※2)によると、2024年7月のパスポートランキングにおいてビザなく入国できる国は、日本はフランスなどの欧州4カ国と同率の世界ランキング2位、192カ国に上る。ちなみに1位はシンガポールで195カ国だ。
日本は同ランキングにおいて、2006年の発表以来最低でも6位、2018年から2023年までは1位をキープするなど、常に上位にある"強いパスポート"を持つ国なのである。
- ※1渡航目的や滞在期間によっては、ビザが必要になることもある
- ※2ヘンリー&パートナーズが国際航空運送協会(IATA)のデータを基に、2006年以来発表しているパスポートのランキング。
ビザ(eビザ含む)なしでアクセス可能な国や地域の数に基づいてランキングされている。
海外進出をサポートするパスポート
世界的にも"強いパスポート"を有する日本だが、日本人のパスポート保有率は2019年の23.8%をピークに減少が続き、22年、23年は17.0%と横ばいにある。海外への出国者数も同様で円安、物価高などの理由から「海外離れ」と捉える向きもある。こうした状況下、日本の国際的競争力を劣化させないために、政府も種々の支援策を打ち出している。例えば、海外進出を図る中小企業やスタートアップ企業に対して、投資枠の設置や融資の実施を行う政府系銀行もある。
不安定な世界情勢や円安などの経済的事情はあるものの、人口減少により市場が縮小していく日本において、海外市場の開拓はビジネス展開における一つの選択肢である。日本の強いパスポートは、海外進出を模索する中小企業にとって、背中を後押しする助力になるのではないだろうか。